第4期養成コース《第3回》『インドの叡智』
今回は、
第3章「ヴェーダ」
2.ヴェーダの神々(三界の神々)
3.ヴェーダの種類と内容
・『リグ・ヴェーダ』とホートリ祭官
・『サーマ・ヴェーダ』とウドガートリ祭官
・『ヤジュル・ヴェーダ』とアドヴァリュウ祭官
・『アタルヴァ・ヴェーダ』とブラフマン祭官
・サンヒター(本集)
・ブラーフマナ(祭儀書)
・アーラニヤカ(森林書)
・ウパニシャッド(奥義書)
第4章「ウパニシャッド」
1.ウパニシャッドとは
・ウパニシャッド誕生
・祭祀主義と神秘守備
2.ウパニシャッドの成立年代
・初期ウパニシャッド
・中期ウパニシャッド
・後期ウパニシャッド
3.ウパニシャッドの思想
・ブラフマンとアートマン
(1)ブラフマン
(2)アートマン
(3)梵我一如 を学習しました。
[学習内容]
ヴェーダの宗教は自然神を対象とした多神教で、これらの神々は三界(天界・空界・地界)のいずれかに住んでいると考えられていました。仏教とともに日本へも伝えられ、天界のヴァルナ(秩序の神)は水天、空界のインドラ(雷神)は帝釈天、ヴァータ(風神)は風天、地界のサラスヴァティー(河川の女神)は弁財天等、「天」という名で呼ばれています。※P50~P51参照
ヴェーダの祭祀には、小さな家庭的な祭祀(日本でいう七五三など)から大がかりな祭まであり、時代とともに大がかりで複雑になっていきます。そのため担当する祭官も分化され、祭祀や儀式のテキストや参考説明書的な文献も数多く出ました。
アーリア人がインダス河に定着し始めると、古代インド社会にもさまざまな変化が生じ、自由な思想を持つ人々(ゴータマ・ブッダ等)が現れ始めました。同時期ギリシャでは、ソクラテス、プラトン、アリストテレスが、中国では孔子が現れ、智慧を探求しようとする新しい考えの人たちが地球レベルで現れた時代であったようです。
インドに生まれた新しい自由思想家たちは、ヴェーダのような人任せの儀式では永遠の安らぎは得られず、安らぎの境地に至るには解脱するほかないと考えるようになりました。これは、この時代に起こった新しい宗教の共通の思想で、個人としての思想や哲学が認められ始めた時代でもありました。そして、この新しい価値観を持った哲人や宗教家たちの教えをまとめたものが「ウパニシャッド文献」です。※ウパニシャッドとは、初期・中期・後期と何百年もかけて何人もの人たちが書いた文献(1冊の書物ではない)。P58~P59参照
それまでのヴェーダの宗教は、神々に現世利益などを祈願するタイプの宗教なので、祭祀主義宗教に入り、祭祀や神々への祈願では安らぎの境地は得られないとしたウパニシャッドは神秘主義宗教に入ります。
時代と共にヴェーダの祭祀が発展複雑化して神々の地位が低くなり、その代わりに「唯一なるもの」「根本原理的なもの」を求める姿勢が強くなってきました。この最高原理の観念が次々と変わっていく中で中世的原理であったブラフマンが、最終的にその地位を得ました。そして、ブラフマンがバラモンたちの重要な概念であったのに対し、クシャトリア階級の人たちは自己の奥深いところに恒久普遍的な「何か」を発見し、それをそれまで自己という意味で使っていたアートマンという名で呼びました。そして、ウパニシャッドの哲人たちが、アートマンとは真実の自己でありながら自己をも超えた広がりを持つ実在なので、宇宙の最高原理といわれるブラフマンと同じではないかと気づきます。その境地が「梵我一如」と呼ぶものだったのでしょう。
次回の養成コースは、5月18日(金)実技講習です。